【テーマ7】
フライで飛び出した一塁ランナーが、二塁も回った。アピールするには、一塁、二塁どっちを踏む?

 今回は、アピールをするのにも“場所″がある、という話をしましょう。ちょっとややこしいので、よく読んでください。一死ランナー一、三塁。バッターは、左中間にフライを上げました。三塁ランナーは、タッチアップをねらうのでペースについたままですね。どうやら、レフトが追いつきそうです。ところが一塁走者は、打球が抜けると思ったのか、打つと同時にスタートしてニ塁も回りました。三塁ペースコーチが「戻れ!」と指示を出すのを見て「あっ、捕られそうだ」とやっと気がつく。二塁方向に戻ろうと、あわててくるりと向きを変えますが、すべってころんでしまいました。

 レフトはしっかりこのフライをキャッチし、ボールをショートに返します。「こっち、こっち!」と、二塁カバーに入ったセカンドに転送。起きあがったランナーは二塁に戻ろうとしますが間に合わず、セカンドはランナーより早く二塁ペースを踏みました。このとき、三塁ランナーもタッチアップしてホームヘ走っていましたが、このランナーがホームを踏むよりも早く、セカンドは二塁を踏んでたとしましょう。「離塁が早いのでアウトです」。セカンドは、そう塁審に告げました。塁審はアウトの宣告はしませんが、ダブルプレー、チェンジ…と、だれもが思うでしょう。現に守備側はみんな、ペンチに引き上げてきます。

 ところが一塁走者は、それにはかまわず、二塁を回って一塁まで戻りました。守備側は、外野手もペンチに帰っていた。すると球審は、全員ポジションに戻るように命じたのです。しかも、スコアボードには1点が入っていた。ダブルプレーで無得点のはずなのに、なぜ?守備側は、キツネにつままれたような表情です。

 リトルリーグ競技規則7.09のaにはこうあります。

 「飛球が捕球された後、走者が再度の触塁を行なう前に身体またはその塁に触球された場合」、アピールが認められれば走者はアウトになる。″再度の触塁″というのは、ピッチャーが投げたときにいた塁に、ふれ直すことです。つまりかんたんにいえば、ランナーがもともといた塁、この場合は一塁に戻る前に、一塁に″触球″しなければ、アピールは成立しない、ということなのです。

 このルールをよく読めば、二塁を踏んでアピールをしても、それは成立しないことがわかるでしょう。一塁に触球しなければアピールできない。アピールする場所違い、ということです。守備側がダブルプレーとカン違いしたため、一塁ランナーはゆうゆうと″再度の触塁″をしました。もちろんダブルプレーにはならず、タッチアップからホームインした三塁ランナーの1点も記録されます。そしてなお、二死一塁という状態。主審が守備につくように命じたのは、そういうわけなのです。

 それにしてもこの一塁ランナーは、ルールをよく知っていました。それとも、塁審がアウトを宣告しない以上は、とりあえず一塁へ走ろうと思ったのかもしれません。フライで飛び出したのはいただけませんが、頭のファインプレーだといえるでしょう。

 一方このルールは、ランナー側からの見方ですが、守備側から見れば「ランナーが戻るより前に、ランナーがもといた塁に触球するか、ランナーにタッチすれば」アピールできる、ということになります。テーマ5でも、ふれましたが、ランナーが目の前にいるのですから、この場合はタッチしてアピールするほうがりこうだったかもしれません。

 守備側、とくに内野手は、フライなのにランナーが走っている場合、ボールを送るのは近い塁じゃなく、ランナーがもともといた塁であることをおぽえておきましょう。また、ランナーにタッチしてもアピールできることも。そして、これはランナーにもいえますが、審判の宣告があるまで、アウトだと勝手に早合点しないように気をつけてください。ルールを頭のなかにたたきこむのは大変ですが、あやふやなときでも、審判のコールをしつかり確認することはできるでしょう。そうすれば、うっかリ1点につながってしまうこともないはずです。

(※リトルリーグの競技規則は、一般の公認野球規則とは若干ちがう部分があります。)



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