【テーマ6】
投球動作に入ってから、打者がボックスを出てしまったら…

 風が強い日の試合を考えてください。ピッチャーのキミが、ふりかぶって投げようとしたら、突然砂ぼこりが舞い上がリ、バッターはタイムも要求しないで打席から出てしまいました。ありえない話じゃないですね、砂が目に入ったらあわててしまって、タイムをとるのを忘れてしまうこともあるでしょう。

 さて、ピッチャーのキミはどうしますか。そのまま投げる? それとも投げるのをやめる?

 これはランナーがいない場合と、いる場合に分けて考えましょう。

 まず、ランナーがいない場合。これは、投げるのをやめても、そのまま投げてもいいのです。リトルリーグ競技規則8・05には、「塁上に走者がいるとき、次の場合はボークとなる」と記されており、たとえば(a)では「投手が投手板に触れて投球に関連する動作を起こしたが、実際に投球を行なわなかった場合」とされています。ということは逆をいうと、走者がいないときには、「投手が投手板に触れて投球に関連する動作を起こしたが、実際に投球を行なわなくてもボークじゃないということです。

 また規則6・02(b)には「投手がセットポジションをとるか、またはワインドアップを始めた後は、打者はバッターボックス内の打撃位置を離れてはならない」とあり、罰則として「投手が投球した場合は、球審はその投球によって″ボール″または″ストライク″を宣告する」。

 つまリバッターが打席を外しても、ストライクを投げられる自信があったら投げたほうが、1ストライクもうかるのです。現実に目にゴミが入ったとしても、自分のつごうで打席を外したバッターに有利にはならないのです。

 では、ランナーがいる場合はどうでしょう。たとえばランナー三塁。バッターがわざと打席を外し、ピッチャーを戸惑わせようとした。前に書いたように、かまわずに投球してストライクをとることもできます。ただもし、相手の動きにつられて投球をやめたとすると…規則8・05(a)によればボークとなリますから、三塁ランナーはホームインできるのではないか、というわけです。でももし、ボークが認められたら不公平ですよね。相手を惑わせるような″ずるい″やり方が、まかり通ることになってしまう。

 ですが、安心してください。野球のルールは、そういう″ずるい″行為には厳しいのです。公認野球規則6・02(b)の[原注]にはこうあります。「走者が塁にいるとき、投手がワインドアップを始めたり、セットポジションをとった後、打者が打者席から出たり、打撃姿勢をやめたのにつられて、投球を果たさなかった場合、審判員はボークを宣告してはならない。投手と打者の両方が規則違反をしているので、審判員はタイムを宣告して、投手も打者も改めて″出発点”からやり直しさせる」

 ″出発点″とは、バッターが打席に入り直して打撃姿勢をとり、投手が投手板に触れて球審が″プレー″を宣言するということ。つまリピッチャーはボークをしたが、その前に打者も規則違反をしているので、どっちもどっちとしてやり直すということです。これならば公平ですね。またリトルリーグ競技規則6・02(C)では、こんなふうにも決められています。「打者が打順にあるときに、バッタースボックスの打撃位置につくことを拒否した場合は、球審は投手に対して投球を命じ、各投球に対して″ストライク″を宣告する(後略)」。この場合の投球はすべてストライクと見なされます。打席に立とうとしないのは、試合進行の妨げとなるという判断です。

 もしキミがピッチャーだったら、打者が打席を外したり、打撃の構えをとっていなくても、かまわずに投げていい。むしろ、なんだ、打つ気がないんだとストライクを投げればいいのです。またかりに打者の動きにつき合って投球を中止しても、罰則はないのです。

 そして打席に立つときは、急な突風で目にゴミが入ったときなどはやむを得ませんが、ピッチャーを惑わすために打席を外したりするのはフェアじゃありません。

 ただしこの場合、アピールできるのは、最低でも一人の選手がフェアグラウンドに残っている問(リトルの場合。一般は内野手)だけです。全員がペンチに引き上げてしまっては、アピール権がなくなってしまうのです(7・09のd・注1)。もちろん、ダイレクトでフライをとったあとに、落ち着いて三塁に送球すればなんの問題もありません。ですがナイスキャッチしたファーストや、カバーに入ったピッチャーなどは、目の前のプレーに夢中です。とにかく近い塁に投げることが先決ですから、一塁でダブルフレーをとるのは決して間違いじゃありません。

 このときにサードやレフト、あるいはキャッチャーは、きちんと三塁走者のリタッチを確認しておきましょう。そうすれば「やれやれチェンジだ、でも1点とられちゃった」とペンチに引き上げる前に、アピールプレーで1点を防ぐこともできるのですから。

(※リトルリーグの競技規則は、一般の公認野球規則とは若干ちがう部分があります。)



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