Q.カウント“2−4”からヒットって?

 9月3日の横浜−阪神戦で、こんなことがありました。3回、打席には横浜の佐伯責弘選手。カウント2−3からボールを選び、一塁に歩きかけます。ところが、審判員から呼び止められてそのまま打席にとどまり、次の投球をレフトにヒット。カウントでは四球のはずが、審判員の勘違いだったわけです。ちなみに日本のプロ野球では、四球に気づかずに続行されたのは史上6度自のことだそうで、1987年の吉村禎章選手(巨人)などは、カウント“2−4”からホームランしています。

 守備側にとってはもうけものだったはずが、ホームラン。しかしここで、“本来は四球じゃないのか”とアピールしても、それは通りません。公認野球規則9・02には、審判員の裁定について書かれていますが、(b)には「審判員の裁定が規則の適用を誤つて下された疑いがあるときには、監督だけがその裁定を規則に基づく正しい裁定に訂正するように要求することができる(後略)」とあり、【注2】では「審判員が、規則に反した裁定を下したにもかかわらず、アピールもなく、定められた期間が遇ぎてしまったあとでは、たとえ審判員が、その誤りに気づいても、その裁定を訂正することはできない」としています。

 ここでいう“定められた期間”というのは、規則7・10に規定されていて、(1)投手が打者へ次の1球を投じるか、投球しなくてもけん制など次のフレーを行うまで (2)イニングの表または裏が終わったときは、内野手がフェア地域を離れるまで――です。これがリトルリーグとなると、ちょっと異なるから注意が必要です。「本条の規定によるアピールは、次の投球、またはその他のプレイないしプレイの準備が為される前に行なわれなければならない。イニングの裏か表を終了させるプレイの最中に発生した反則行為に対するアピールは、守備側のチームが競技場を去る前に行なわれなければならない(守備側チームの誰もフェア地域に残っていなければ、守備側チームは競技場から去ったものとする)」(リトルリーグ競技規則7・10)。

 少々回りくどいですが、早い話、(2)については“内野手”ではなく全員の野手がフェア地域を離れたとき、ということになります。もしこの(1)(2)の期間が遇ぎてもアピールがなければ、たとえ規則に違反していても、そのプレーは正当化されるのです。かりにペースを踏み忘れても、次の1球が投げられれば、プレーはそのまま続くということですね。そう考えると、アピールによってピンチを未然に防ぐこともできるのですから、アピールする観察力やルール知識は、戦力として非常に大きいんですね。

A.アピール権消滅で、認められます

 たとえば……二死一、二塁から、長打性の打球で2者が還りましたが、打者走者は三塁でアウトになりました。3アウトですが、一塁走者Aが二塁を空過していたことを、野手がしっかり見ていました。さて、どんなアピールをしますか? 公認野球規則7・10には、いわゆる“第3アウトの置き換え“という規定があります。「第三アウトが成立した後、ほかにアピールがあり、審判員が、そのアピールを支持した場合には、そのアピールアウトが、そのイニングにおける第三アウトとなる」というものです。アピールしたい野手は、チェンジだから……とベンチに戻る前に、ボールを受け取って二塁ペースを踏み、「Aがベースを踵んでいません」と審判員に告げればいい。これで、第3アウトは置き換えられますね。当然、Aのホームインは認められません。

 さらに、もうひとつ。二塁ベース空遇のアピールが支持されたので、Aは、かたちとしてフォースアウトになります。第3アウトがフォースアウトなら、それより先にホームインしても、得点にはなりませんよね(4・09[a])。Aより先にホームを踏んでいた前位の走者、つまり二塁走者の得点も、認められないことになる。そう、ひとつのアピールで、2点取られたはずが0点になるのです。どうですか。やはリアピールは、大きな戦力でしょう? 佐伯選手の例では、たまたまヒットになったから結果オーライだったものの、ベンチがいろ早く気づいて、次の1球の前に四球とアピールすべきだったでしょうね。



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