Q.野手の送球が塁審に当たったら?

 今月は、われわれ審判員が関係する問題です。無死一塁、二塁手にゴロが飛んだとしましょう。二塁手はこれを捕りますが、二塁カバーの遊撃手への送球が大きくそれて、二塁後方にいた塁審に当たってしまいました。ボールが転々とするあいだに、一塁走者は一気に三塁まで進みます。さて、このときはどうなるでしょう。

 よく、ルールを覚えるのに“審判員は石ころ”といわれますね。われわれとしては愉快ではない表現ですが、たとえば打球が審判員に当たって予期しない方向に飛んでも、それは石に当たってイレギュラーしたのと同じ扱いで、インプレーということです。ただしこれは、「フェアボールが、内野手(投手含む)に触れる前に走者またはフェア地域内の審判員に触れた場合、及び投手以外の内野手を過ぎる前に審判員に触れた場合」(リトルリーグ競技規則5・09[f])を除いてのこと。ただ、リトルリーグのフォーメーションでは、塁審が内野手の前に位置することはないので、前記のうち「及び投手以外の〜」のケースは考えにくいのですが。

 リトルリーグ競技規則6・08(d)の(注)には「フェアボールが投手を除く野手を通過した後か、または投手を含む野手に触れた後に審判員に触れた場合はボールインプレイである」とあります。逆をいうと、内野手にいったん捕球の機会があったら、そこから審判員は石ころになるのですね。

A.プレーは中断せず、そのまま進みます

 では、問題のケース。二塁手がすでにゴロをつかんでいるのですから、審判員は“石ころ”になるのでしょうか。それとも、結果的に送球のじゃまをしたので、守備側になんらかのアドバンテージになるのでしょうか。リトルリーグ競技規則5・08には、こうあります。「送球が偶然にべースコーチに触れたり、投球または送球が審判員に触れた場合は、ボールはインプレイである。コーチが送球を妨害した場合は、走者はアウトとなる」。そうです。守備側にはちょっと気の毒ですが、審判員に責任はなく、プレーは成り行きのまま続くということです。投球はともかく、“送球が審判員に触れ”るということは、すでに野手は守備機会をこなしていることを意味しますから、自動的に審判員は“石ころ”になる、ということかもしれません。

 送球が当たることはあまりありませんが、野手と塁審が交錯するのはときどき見かけます。昨年、メジャーリーグのオープン戦で実際にあったそうです。二塁手と、塁間のラインより内側に入っていた塁審が衝突してしまい一、二塁がオールセーフになりました。リトルリーグでも、ベースカバーに入る野手と塁審が接触するケースがあります。このときはボールインプレーですが、リトルリーグは塁間が狭いですから、審判員の方々は注意してほしいものです。

 ところで問題のケースで、二塁手がグラブに当てて捕りそこねた打球が、走者に当たってしまったらどうなるのでしょう。ふつう、打球がランナーに当たったら、ランナーはアウトですね。しかし、このケースは違う。前出の5・09(f)には、(注)があります。「フェアボールが内野手の股間または傍らを通り、すぐ後ろの走者に触れるか、あるいは内野手に当たり跳ねて走者に触れた場合は、ボールはインプレイであり、審判員は走者に対しアウトを宣告してはならない(後略)」。

 内野手は一度守備のチャンスがありました。簡単にいえば、それをモノにできなかったことまでルールは面倒を見ませんよ、というわけです。何度もいうように、野球のルールは守備側優先が基本ですが、野手のグラブをはじいた打球が、たまたま走者に当たったからって、それはさすがに走者の守備妨害ではない、ということです。最後に、次回に宿題を出しておきましょう。走者が打球に触れたら、リトルリーグ競技規則7・09(m)によって守備妨害でアウトになります。しかしそれを逆手に取り、併殺になりそうな打球に対して、走者が意図的に当たったらどうなりますか。かりに、ボールデッドであればそのままプレーが中断しますから、併殺は阻止できるわけですが……。答えは次号で。



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