Q.二死からサヨナラHRを打った選手が、前の走者を追い越したら?

 今年のプロ野球は、西武の日本一で幕を閉じましたが、パリーグの終盤は日本シリーズ進出をかけたプレーオフで大いに盛り上がりましたね。なかでも、リーグ制覇した西武と熱戦を繰り広げ た北海道日本ハム。ロッテとの3位争いも白熱していて、結局0.5ゲームの差でフレーオフに進出したのですが、大きかったのが9月20日、ダイ工−戦のサヨナラ勝ちでした。9対12の9回裏、粘って同点に追いつくと、なおも二死満塁で打席には人気者のSH−NJO(新庄)。打球は左中間スタンドに飛び込み、大逆転サヨナラ勝ちです。ただしこの試合スコアは13対12です。満塁サヨナラホームランのはずなのに、なぜでしょう。

 このシーン、覚えている人も多いのではないでしょうか。そう、一塁走者にいた田中幸雄選手が、殊勲の新庄選手を一、二塁間で待ちかまえていて、喜びのあまり抱き合った。そのとき、勢いで両者の体が回転して入れ替わり、新庄選手が田中選手を追い抜いたかたちになってしまったんです。後ろの走者が、まだアウトになっていない前の走者を追い抜いたときはどうなるのでしょうか。

A.3アウト成立時のタイムプレーです

 リトルリーグ競技規則7・08(h)には「前位の走者がアウトになる前に後位の走者が前位の走者に先んじた場合(は走者アウト)」とあります。ここでアウトになるのは後位の走者、つまり追い越したほうですから、かたちはどうあれ、結果的に田中選手を追い抜いた新庄選手がアウト、というわけですね。

 10項は公式記録について、ふれています。選手の皆さんには直接関係のないことですが、知識として頭に入れておいてソンはありません。その10・07(9)は、いわゆる“サヨナラ・ ホームラン”について、ふれています。「打者が場外本塁打で試合を終了させた場合は、その打者及び塁上の各走者は得点をあげる権利がある」。つまり、新庄選手のフェンスを越えるホームランなら、4点入って試合終了、というのが、ふつうですね。例にあげた試合では、16対12になるはず。

 ところが、田中選手を追い抜いた時点で新庄選手はアウトになりますから、記録上はシングルヒットにすぎません。また、10・07の(f)では「10・07(g)の規定を条件として、打者が味方チームに勝ち越しとなる点数を入れる安打を放って試合が終了した場合は、その打者には勝利点をあげた走者が進んだ塁数に限り、且つそれと同数の塁を打者が進んだ場合にのみ、その塁打を記録するものとする」としています。決勝点は、三塁走者の奈良原浩選手がホームを踏んだもので、奈良原選手が進んだ塁はひとつ。ですから、かりに新庄選手がエンタイトル二塁打を打っていても、記録はシングルヒットになっていたところです。これは、いつか勉強したことがありますね。

 それよりもヒヤヒヤなのは、得点が認められるかどうか、ということでした。公認野球規則4・09[注2]によると「二死後ある走者が他の走者に先んじたためにアウトになったときは、(中略)たとえアウトになった走者より前位の走者でも、第三アウトが成立するまでに本塁を踏まなければ得点は認められない」。奈良原選手が本塁を踏む前に、新庄選手が田中選手を追い越してしまったら、1点も認められないところだったのです。さすがはベテラン、奈良原選手はきちんとホームを踏んでいましたが……サヨナラの場面でヒットが出ても、まずはしっかり先の塁に進むこと。喜ぶのはあとでいいのです。

 付け加えておきますと、追い越しアウトがあった場合でもボールインプレーで、ここにあげた例のように二死からの追い越しでは、ホームを踏んだのが先か、アウトが先かのタイムプレーになります。



Copyright (C) JAPAN LITTLE LEAGUE. All Rights Reserved.