Q.交代通告のない代打がHRを打ったら?

 先月号で、アジア大会に同行したサンケイスポーツ・長谷川記者が、全員出場ルールの煩雑さについて記していました。交代するとき、その選手が攻守1イニング以上出場しているか。あるいはスタメンからいったん交代しての再出場もありますから、各自が出場資格を満たしているかどうかの確認はなかなか大変です。不慣れなせいもあってか、チェックに手間取り、全日本選手権では試合が3時間近くかかるケースもありました。

 ただしこれは、世界統一ルールですから、国内大会から遵守していなければ、上の大会で失格になっても文句はいえないのです。たとえば、規格外の用具を使うのと同じこと。ですから全員出場ルールについては、ホワイトボードと磁石を利用するなどして、チェックの手際を徐々によくしていくよう心がけたいものです。そこで今回は、選手交代にまつわるルールを。アテネ五輪前のことでした。日本代表の壮行試合・キューバ戦で、キューバの監督が代打の通告を怠り、投手が1球投げたあとに、日本代表の中畑ヘッドコーチが気がついて抗議。しかし、「国際ルールでは投手が1球投げると、コールされなくても打者として認められるらしい」 (中畑ヘッドコーチ) と、受け入れられませんでした。

 そのバッターが凡退したからいいようなものの、もしホームランを打ったら、それは得点として認められるのでしょうか。リトルリーグ競技規則3・06には、こうあります。「監 督は、プレーヤーの交代があったときは、直ちに主審にその旨通告し、交代者の打順を示さなければならない」。A君に代わって代打B君が打席に立ち、ホームランを打ったが、代打の通告も場内のコールもなされていなかった場合は、一見3・06に反しているようですね。

 その答えはずばり、3・08にあります。「(a)交代発表がなかった場合は、交代プレーヤーは左記の時点から試合に出場したものと見なされる。(1)投手の場合は、交代者が投手板に位置して、捕手に対しウォームアップ投球を一回行なったとき。(2)打者の場合は、交代者がバッターボックスに位置したとき。(3)野手の場合は、交代者が退場した野手の通常とる守備位置について、プレイが開始されたとき。(4)走者の場合は、退場した走者が占めていた場所に」交代者が立ったとき。(b)交代発表のなかった交代プレーヤーが行なったプレイ、または同人に対してなされたプレイは、すペて正規のプレイとなる」

A.認められます

 つまり、うっかり交代を通告しなかった場合でも、交代して出た選手のプレーは認められるのです。確かに、手続きとしては不備があるので厳重に注意されますが、相手ペンチが注意深ければ、その不備に気づく時間は十分あります。その一定の時間が経通したらどっちもどっち、固いことはいわずに」交代を認めたことにするぞ、というわけでしょう。まあ、通告する、しないによって結果が大きく変わるとも考えにくいので、合理的といえば合理的です。ただし場合によっては、通告がされないと記録として残らないことが考えられますので注意してください。

 ところで、先の中畑ヘッドコーチの言葉には大きな誤解があることがわかりますね。国際ルールうんぬんに関係なく、公認野球規則3・08で、交代通告のなかったプレーヤーの扱いが定められているのですから。「投手が1球投げたら……」というのは、たとえば打順を間違えた場合のときに適用されるルールです。

 念を押しておきますが、うっかり通告を忘れてもいい、という主旨ではありませんよ。全員出場ルールで、チェックをすみやかに行うには、明確な交代の通告が欠かせません。



Copyright (C) JAPAN LITTLE LEAGUE. All Rights Reserved.