特別版
競技規則の改正点を解説します

 昨年、投手の登板制限についてリトルリーグ競技規則の改正がありました。また今年度も、おもにいわゆる全員出場ルールについて、 いくつかの改正がなされています。本格的なシーズンインに備え、ここであらためて改正点を解説しておきます。少々ややこしい面もありますが、これは世界の統−ルールです。審判員の方、また各リーグの監督・コーチの方は、よく読んで、周知徹底に努めてください。なおここでの説明は改正部分に限るため、改正されていないその周辺のルールについては、あらためて確認しておいてください。

 今年度の規則改正はおもに、全員出場ルールの見直しである。01年の全日本選手権から適用されたこのルールは、レギュラーだけでなく、できるだけ多くの選手に出場のチャンスを与えようというものだ。ただし各連盟の大会などでは、ベンチ入り人数とのかねあいなどから、適用を見送ることもある。たとえば19人がベンチ入りするような大会では、全員を出そうとすると確認が煩雑になって試合が滞るおそれもあるだろう。ただし、そうしたケースでも、たとえば準々決勝以降は12〜14名のベンチ入りメンバーを再登録するなどし、そこから全員出場ルールを徹底することが望ましい。

1「全員出場の規則」においては出場選手は全員1打席以上と連続3アウト以上の守備をしなければならない。(試合出場の義務)

●(解説・以下同)従来は「連続3アウト以上の守備又は1打席(ノーカウントから打席に入る)」とされていたが、この改正では打席と守備のどちらもプレーしないと出場とはならない。またこの連続3アウトとは、2イニングにまたがってもいい。

2 控え選手が試合に出場したときは、「試合出場の義務」を果たさないと交代できない (注 投手に代打が出た場合は、投手交代となる)

●たとえば、2回裏に代打に出たら、3回表を守らなければならない、ということ。注意が必要なのは、投手に代打が出た場合である。従来代打は、その打席で試合出場の義務を果たしていた。そのため、ひきつづき投手がマウンドに立つことも可能だったが、今後は代打に出た選手が守らなければならない。同じ打順に2人が入ることはありえないので、必然的に投手交代となる。

3 先発メンバーは再出場できるが、控え選手は再出場できない

●先発メンバーは、1打席と連続3アウトの出場義務を果たさなくても、控え選手と交代できる。たとえば1回表の攻撃で、一番打者Aに代打Bを出すことも可能だ。ただしこのとき、Bがその裏を守り、出場義務をクリアしたあと、Aが出場義務をみたすことになる。また先発メンバーの出場義務は、打席と守備が必ずしも連続しなくていい。1イニング守ったあと代打と交代したら、再出場したときに打席に立てばいい。

 作戦的には、控え選手を使う場合、まずは代打で使って次の回を守らせるのが無難だろう。控え選手の「1打席と連続3アウト」は切り離せない。どちらが先でもいいのだが、守備から起用すると、次の攻撃で打順が回るかは定かではなく、義務をみたすまで複数のイニングを要することもある。その点代打は好きなところで起用できるし、1イニングで出場義務をクリアできるのだ。

 また控え選手(先発メンバー表に名前のない選手)は、試合出場の義務を果たし、いったん試合から退いたら、再出場はできない。従来は再出場できた。バッティングは素晴らしいが守備はちょつと……という選手なら、指名代打的に起用する作戦もあったが、それができなくなる。

4 リトルリーグ競技規則7・14「専用(=スペシャル)ピンチランナー」を適用する

●これは新たに追加された項目なので、ルールの全文をまず紹介する。

7・14 「専用ピンチランナー」を起用することができる

(1) 控えの全選手は、何度でも「専用ピンチランナー」として出場できる。ただし、1イニング中に出場できるのは一度だけである

(2) 控えの選手が代走に出てそのまま守備につかないときは、もとの選手の打順の位置に入らない。控えの選手として残る

(3) 「専用ピンチランナー」が守備又は打席についたときには、「専用ピンチランナー」の資格はなくなる

(4) 「専用ピンチランナー」で塁上にいるときには、代打者になれない

 たとえば炎天下で、バッテリーのどちらかが出塁したとき。あるいは、少し足を痛めている選手が出塁したとき。スタミナの消耗や健康管理のために、「専用ピンチランナー」を使うことができる。立場的には、臨時代走に近い(臨時代走も従来通り起用できる)。足の速い控え選手がいれば、うってつけだ。代走に出た時点では打順表には名を連ねず、守備につかなければまだ控え選手という位置づけになる。ただし最終的にはもちろん、試合終了までに試合出場の義務を果たさなければならない。

 かりに打者一巡して、代走に出た同じ打順がまた出塁しても、1イニングに出場できるのは一度だけなので、代走には出られない。ただし、同じイニングで代打に出ることは可能。このときは、「専用ピンチランナー」の資格はなくなる。守備についたときも同様で、打順表に名を連ねた時点で、「専用ピンチランナー」ではなくなるわけだ。「専用ピンチランナー」に出て、次のイニングから守備につく場合、代走に出た打順に入る必要はなく、従ってポジションも制約はない。このとき、まだほかの控え選手がいれば、次の「専用ピンチランナー」として起用できる。

5 降雨、日没によるコールドゲームの場合は「全員出場」していなくてもよい

●従来は降雨、日没によるコールドゲームにも適用されていたが、このように改正された。ただし、点差によるコールドゲームだと全員出場の義務がある

[投手の規則] 投手が1日及び1試合に投球できる回数は、6回を限度とする (傍線部追加)

(1) 1日及び1試合に6イニングを超えて投球してはならない

●ダブルヘッダーを行う場合、第1試合で1イニング投げた場合は、第2試合に登板することができるが、上限は5イニングまでということになる。従来のルールでは、第1試合の投球回数が1イニングなら、第2試合で6イニング投げることができた。

(2) 1試合あるいは1日に、2イニング又は3イニング投球した投手は、1試合及び1日間隔をあけなければ、投手として出場できない

(3) 1試合あるいは1日に、4イニング以上投球した投手は、1試合及び2日間隔をあけなければ、投手として出場できない

●昨年6月の改正。従来、投球回が3イニング以下なら、1試合あければ翌日も登板が可能だった。ダブルヘッダーの第1試合で完投しても、第2試合に投げなければ1試合間隔があくため、翌日の試合に登板できたわけだ。ところが今回の改正で、それができなくなる。

 日本のように、土・日を中心に大会の日程を組むと、日程的にどうしてもダブルヘッダーが避けられない。たとえば全日本選手権で優勝するには、土・日にそれぞれ2試合ずつ戦うことになる。かりに、1日目に2人の投手が完投して勝っても、同じ2人は翌日は登板できないから、優勝するには最低でも4人以上の投手が必要になってくる。従来は、完投能力のあるピッチャーが2人いればトーナメントをまかなえたのだから、これは大きな大きな改正だ。

 昨年の全日本選手権では、改正後間もないこともあり、一部説明不足もあった。たとえば1回戦で、1回に1人ずつの投手を使い、6人を投げさせたリーグがある。ここで勝ち、ダブルの2試合目も同じ作戦をとれば、翌日に勝ち進んだとき、6人の投手のすべてを使えるという作戦だったようだ。だが(2)の改正によると、1日に2イニングを投げた投手は、、次の登板まで1日の間隔が必要である。かりに2試合とも1回に1人ずつの投手を使ったら、その6人は翌日投げられないことになりますよ……とその場で説明して、事なきを得た。ただもちろん、1試合目で6人を使い、2試合目をかりにそのうちの2人でまかなえば、1試合目で投げた6人のうち4人は翌日の登板が 可能である。

 また(2)でいう「1試合及び1日」というのは必要十分条件だ。たとえば日曜日に救援で2回投げた投手を、翌週の日曜日に先発で使う……というのは、6日間あいているから可能に見える。だが、もし別の試合をはさまず、それが連続してのものであれば、1試合あいていないことになる。日数の間隔は問題なくても、ルールに抵触するのだ。

 この改正の主旨としては、子どもたちの健康管理、肩の保護はもちろん、機会を均等にし、ピッチャーをたくさん育てよう、攻撃型の野球を楽しもう、ということが考えられる。

改正された全員出場ルール(1000x724pixelのJPG画像を開きます)

14人全員出場のシュミレーション

 ▲クリックすると大きな画像が開きます
 指揮をとる監督に聞くと、14人全員を試合に出すには、試合序盤である程度控え選手を使っておく、という声が多い。ただし今シーズンからは、出場条件が攻守両面になり、さらに控え選手は再出場ができない。また、「専用ピンチランナー」も適用されるため、ベンチワークがますます重要になってくる。いたってシンプルな例だが、14人を効果的に使った架空の試合を見てみよう。

 1回表 二番・小森に代打岡本。その裏岡本は守備につき、出場条件クリア。捕手・中原がヒットで出たので、「専用ピンチランナー」に谷口を起用
 2回表 投手・野村が死球で出塁し、専用ピンチランナー谷口。一番・高原に代打永田を起用し、その裏から守りについた永田は出場条件クリア。二番・岡本に代わりスタメンの小森が戻って打席に。2回裏終了時点で、計11人が出場条件クリア
 3回表 四球で出た中原に専用ピンチランナー・谷口
 4回表 二塁打の野村に専用ピンチランナー・谷口。九番・森本に代打・中村。その裏守備につき12人目
 5回表 上田が死球。臨時代走も可能だが専用ピンチランナー・谷口。六番・梅田の代打・斉藤は、その裏を守って13人目
 6回表 5回表から中村に代わって守備についていた谷口に打順が回り、14人目



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