【テーマ29】
Q.ランナーの手に送球が当たったら?

 9月6日のプロ野球・阪神対横浜戦で、こんなシーンがありました。4回表、横浜の攻撃。一死一、三塁で、バッターT・ウッズの打球はショートへ飛びました。ゲッツーか、だれもがそう思います。二塁べ−スに沖原選手がカバーに入り、二塁走者・内川選手が封殺されてまずワンアウトです。

 ところが。一塁に転送しようとした沖原選手の送球が、内川選手の手に当たってしまったのです。ボールは横に転がって、打者走者のT・ウッズ選手は一塁に生き、三塁走者もホームを踏みました。う〜ん、これはむずかしい判定です。内川選手はすべリ込むとき、両手を上げていましたが、これは送球から頭を守ろうとしているように見える。故意に妨害したのではないようです。

 とはいえ守備側にとっては、たまったものではありませんね。ゲッツーでチェンジのはずが一死しか取れず、しかも1点失うのですから。そもそも野球のルールは、守備側を保護するようになっているのだから、守備妨害では……。

 結論からいうとこのプレーは、守備妨害とはなりませんでした。リトルリーグ競技規則7・08(b)には、 こうあります。

 「走者が故意に送球を妨げるか、または打球を処理しようとしている野手を妨げた場合(は走者アウト)」。

 これをよく読んでください。打球を処理しようとしている野手を妨害したら、故意かどうかにかかわらず走者はアウトですが、送球の場合「故意に妨げた」ときに限ることがわかるでしょう。内川選手は、確かに両手を上げてはいましたが、審判はそれが故意だとは判断しなかったのです。単純に考えますと、一塁手が二封を狙った送球が、走者の背中に当たったのと同じことになる。当然インプレーですから、三塁走者の生還も認められます。

A.故意か偶然かで判定が違います。

 一見すると、守備側に不利なようですね。ルールの原則に反します。なぜそういう規則になったのかを想像してみましょう。問題のケースでたとえば1塁でアウトを取れるかどうかが微妙なタイミングだったとします。そこへ走者が、自然の流れとして、故意ではなく両手を上げてすべり込んでくる。抜け目のない野手は、とっさに判断します。タイミングが微妙な一塁に投げるよりも、このランナーの手にぶつけたほうが確実にアウトを取れるぞ……。

 おそらく過去に、そうやって故意に走者に送球を当て、守備妨害をもぎ取った例があったのではないでしようか。これはフェアプレーの精神に大きくそむくものですし、第一大いに危険な行為。こういうずるいプレーを防ぐために、送球については「走者が故意に」妨害したときに限るようになったのでしょう。

 ただしリトルリーグでは、かりに故意でなくても、走者の守備妨害をとることが多い。善意のプレーでも結果的にアンフェアと紙一重ならば厳しく対応する、ということです。

 これが、打球を処理しようとしているときとなると、第19回で勉強した通り、故意かどうかにかかわらず、野手を妨げた走者はアウトです。

 さて、問題のケースが故意ならば、内川選手はすでに封殺されていますから、6・05(m)「野手がプレイを遂行する為に送球を捕まえようとしているか、または送球しようとしているとき、前位の走者がその野手を故意に妨害したと審判員が判断した場合(は打者アウト)」によって、打者にアウトが宣告されます。もちろん、得点は認められません。

(※リトルリーグの競技規則は、一般の公認野球規則とは若干ちがう部分があります。)



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