【テーマ27】
Q.打者走者と捕手が出会い頭に交錯したら?

 よしっ、いいタマだ、それっ! と気分はホームランで振ったつもりが、キャッチャー前、一塁線ぽてぽてのゴロ。それでもキミは、夢中で一塁に走り出しますね。ところがそこで、ボールを処理しようとしたキャッチャーと交錯してしまいます。もちろん、故意にぶつかったのではありません。プレーの流れで、たまたまそうなってしまった。

 「走塁妨害じゃないんですか? だって、走るじゃまになるんだもん」

 う〜ん、そうかな。

 「いや、いくら“たまたま”でも、守備妨害ですよね。だって野球のルールは、守備優先が原則でしょう」

 というキミ、なかなか勉強していますね。確かに野球のルールは、守備が優先。走者は、自分の意思で動きをある程度選択できますね。たとえば走るコースや、スピードを調整したり、あるいは止まったり、戻ったり。

 それに比べると野手は、右にきた打球に対して、左には動けません。打球を処理するための動きは、限られているわけ。自由度が低いほうを保護するのがルールの精神ですから、原則として、守備が優先というのは正解です。

 たとえばテーマ24で勉強したように、リトルリーグ競技規則7・09(l)には「走者が打球を処理しようとしている野手を避けなかったか、または故意に送球を妨害した場合(走者はアウト・後略)」とあります。わざとかどうかは関係なく、結果として走者が野手を避けなければ守備妨害になるわけですね。問題のケースも、これに準じれば守備妨害、となりそうです。

 ところが、リトルリーグ競技規則にはありませんが、公認野球規則7・09(l)には原注がある。

 「捕手が打球を処理しようとしているときに、捕手と一塁へ向かう打者走者とが接触した場合は、守備妨害も走塁妨害もなかったものとみなされて、なにも宣告されない(後略)」というものです。つまり、問題のような場合に限り、例外的に守備妨害とは見なされないわけです。

A.守備妨害でも走塁妨害でもなく、プレー続行です

 このルールが日本に導入されたのは、1977年のことですが、われわれはずいぶん面食らったものです。なにしろ、「ルールは守備優先が原則」というアタマがあるのですから。

 アメリカでは日本の前年、76年からこの原注が採用されました。メジャーリーグのナショナルリーグではそれ以前から、打者にも一塁に走る権利がある、という考え方をしており、「打者走者が捕手と接触したときに限って妨害はなし」と内規にもありました。どちらも、故意ではない。走者は、結果的に守備をじゃましたとしても自分も不利をこうむっているわけですし、捕手にしたって走者をじゃまするより、さっさとゴロを捕って投げるほうがよっぽど得策です。条件は五分五分、というわけで、なるほど、これは平等かもしれません。

 この規則が導入されるきっかけとなったのは、75年、ワールドシリーズでの出来事でした。無死走者二璧で打者がバント。これを処理し、二封を狙った捕手が打者走者と交錯し、悪送球になりました。当然、守備妨害ではないかと抗議があったのですが、球審はナ・リーグの内規を適用し、妨害はなかったものとして試合は続行されました。

 アメリカでも、野球のルールは守備が優先、という概念がありましたから、この処置は大論争になったそうです。ですが結局は、アメリカン・リーグでも共通の規則にし、明記しようと落ち着いたのです。まあ、ワールドシリーズの例はちょっと気の毒ではありますが…。

 ただしこれはあくまでも、出合い頭に打者走者が捕手と接触したときです。明らかに故意であったり、塁上にいる走者に対しては、守備が優先であることに変わりはありません。

(※リトルリーグの競技規則は、一般の公認野球規則とは若干ちがう部分があります。)



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