【テーマ25】
フライが鳥に当たってしまったら?

守備妨害の発生前のホームイン  打者が打ち上げたフライが、ちょうど空を飛んでいた鳥にあたる…そんなマンガみたいなこと、と笑うかもしれませんが、ありえないことじゃないのです。87年、大り−グのメッツ対ブレーブス戦で、飛んでいたハトに、実際に打球が当たったことがある。83年には、ヤンキースのウインフィールド外野手の送球がカモメを直撃し、カモメが死んでしまったこともあるそうです。

 では、ここで問題。 平凡な内野フライ、と思えた打球が、あろうことか空を飛んでいた鳥に当たってしまいました。ところが、野手の反応が素晴らしく、この落ちてくるボールをダイレクトでキャッチします。

 「フライが地面に落ちる前に捕ったんだから、アウトでしょう」

 確かに、リトルリーグ競技規則2・00「CATCH」の項にはこうあります。「(捕球とは)野手が飛球を手またはグラブで捕捉し、地上に落ちる前に確保する行為を言う(後略)」。しかも公認野球規則2・15の【原注】には、「野手がボールを地面に落ちる前に捕らえれば、正規の捕球となる。その間、ジャッグルしたり、他の野手に触れることがあってもさしつかえない(後略)」とある。たとえば、二塁手がはじいたライナーを、地面に落ちる前にl塁手がキャッチしたら、当然アウトですね。

 飛んでいた鳥を「他の野手」だと考えれば、問題のケースは正規の捕球になりそうですね。あるいはこれは特別ルールですが、ドーム球場などでは、天井からの懸垂物に飛球が当たった場合、地面に落ちる前にボールを捕ればアウトとしているところが多いのです。う〜ん、どうも打者はアウトみたいですね。

 ところが、実は違うのです。公認野球規則7・05(a)は、本塁打について定めていますが、その【注1】。「フェアの打球がインフライトの状態で、明らかにプレイングフィールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、観衆や鳥などに触れた場合は、本塁が与えられる。インフライトの打球または送球が、鳥に触れた場合は、ボールインプレイであるが、インフライトの状態でなくなる(後略)」と、そのものズバリのことが書いてあります。

A.ボールインプレーです。ただし、インフライトとは見なされません。

 つまり、明らかなホームラン性の打球は別として、打球が鳥に当たったら、その時点で地面についたのと同じ扱いになるわけ。もちろん、ボールインプレーです。ですから問題では、ダイレクトでキャッチしたからと安心するのではなく、すかさず送球すべき塁に送球しなくてはならないのですね。つまり、コロを捕ったのと同様で、走者が生きるかどうかはタイムプレー、ということです。

 かつて日本では、打球が鳥に当たった場合はボールデッド。審判員の判断によって、一個またはそれ以上の進塁を許すとされていました。ところが、もし鳥に当たらなければヒットになっていたかもしれないのと同じ確率で、アウトにできていたかもしれません。そう考えると、インプレーのほうが好守双方に公平ですね。そこで、前に書いた大り−グの87年の例の翌年、日本でもインプレーの扱いとなりました。

 ただ、7・05(a)の【注1】は、こう続いています。「また、投球が鳥に触れた場合は、ボールデッドとしてカウントしない」。打球や送球と投球では、ルールが違ってくるわけですね。そして「犬などがフェアの打球、送球または投球をくわえたりした場合には、ボールデッドとして審判員の判断によって処置する」。これこそマンガのようですね。

 「なにもそこまで想定しなくても…」と思うでしょうが、おそらくは、かつて実際に起こったケースに対応したものでしょう。ルールブックは、判例集のようなものなんです。

(※リトルリーグの競技規則は、一般の公認野球規則とは若干ちがう部分があります。)



Copyright (C) JAPAN LITTLE LEAGUE. All Rights Reserved.