【テーマ18】
プロテクターで捕球≠オたら?

 【テーマ14】で、投球が審判やキャッチャーのマスクにはさまったらどうなるか? という勉強をしたところ、読者の方から次のような質問をいただきました。

 「2ストライクから、パットにかすったボールが、捕手のプロテクターとユニフォームのあいだにはさまってしまったらどうなるのですか?」

 う〜ん…地面に落ちていないのだから、ファウルチップを捕球したとみなして三振になるのか。それとも、正規の捕球じゃないからファウルなのか。確かに、なかなかややこしいところです。

 ちょっと、【テーマ14】の復習をしましょう。ランナー一塁のとき、高く外れた投球が、ちょうど判定をしようと身を乗り出していた球審のマスクにはさまってしまった。この間にランナーはセカンドヘ達しましたが、この進塁は認められるのかという問題でした。答えは、リトルリーグ競技規則5・09(g)「投球が捕手または球審のマスクその他の装具に挟まった場合は(ポールデッドとなり)、各走者は進塁する」。そう、一塁走者は、二塁に進んでいいんでしたね。

 今回の質問も、ボールがキャッチャーのプロテクター、つまり“その他の装具”と、ユニフォームのあいだにはさまっています。ただし、“パットにかすったボールが”というところが、【テーマ14】のケースと違っている。「つまり、ファウルチップだよね」というキミ、よく勉強しているようだけど、残念ながらちょっとカン違いしているね。

 話は少しそれますが、知っているつもりで実はよく知らない言葉って、けっこう多いんじゃないですか。ファウルチップというのは、きちんとリトルリーグ競技規則2・00に明記されています。

 「ファウルチップ:打球がパットから鋭く、且つ直接捕手の手に飛び、正規に捕球されたボール。捕球されなければ、ファウルチップとはならない。捕球されたファウルチップはボールはインプレイである。リバウンドした打球は、最初に捕手のグラブか手に触れていなければ捕球とはならない」

 つまり、捕手が“正規に捕球”しなかったらファウルチップとはいわないわけですね。ですから、第3ストライクがパットにかすって、それを捕手が捕りそこねたとき、「チップ、チップ」というのは、正確には間違いなのです。ではもうひとつ。“正規な捕球”とは、どういうことでしょう。ふだんなにげなく使う捕球という言葉ですが、これも2・00に明記されているのです。

 「キャッチ=捕球:野手が飛球を手またはグラブで捕捉し、地上に落ちる前に確保する行為を言う」

 なるほど、捕捉とか確保なんてむずかしい言葉が使われていますが、要は地面に落ちる前に捕ればいいんです。ただし「捕捉する際に、帽子、プロテクター、ユニフォームのポケットまたはその他の部分を使ってはならない(後略)」と続いています。ということは…どうやら、ユニフォームとプロテクターのあいだにはさまったら、いくら地面に落ちていなくても、“捕球”ではないようですね。ということは、質問の場合はまず、ファウルチップではない。

 「でも…【テーマ14】では、“第3ストライクがキャッチャーのマスクにはさまった場合、振り逃げのないリトルリーグでは、自動的に三振”とありますよ」

 いいところに気がつきました。確かに、正規の捕球ではないにしても、一見、第3ストライクを捕りそこねているような気もしますね。それなら、自動的に三振じゃないのか…。

 同じ2・00では、ファウルボールをこう定めています。

 「(前略)(4)ファウル地域内またはその上方空間で、審判員、プレーヤー、あるいは地面以外のものに触れたボール(後略)」

 ユニフォームとプロテクターのあいだにはさまったボールは“正規の捕球”ではないから“ファウルチップ”ではありません。そこに該当しないのですから、次にあてはまるのはこのルール。ファウル地域の上方空間で、キャッチャーというプレーヤーに触れているのですから、ファウルというのは明らかですね。

 となると…もちろん、2ストライク後のファウルはストライクとはカウントしませんから、これは第3ストライクではありませんね。つまり、空振りや見逃した第3ストライクを捕りそこねたのとは違い、“自動的に三振”ではない。2ストライクからパットにかすったタマを、捕っていれば(定義通りのファウルチップとなって!)三振だったのに、捕りそこねれば三振にならないのと同じことですね。

 現在阪神タイガース・コーチの田淵幸一さんは、新人でまだ捕手だったころ、実際にこのようなケースがあったといいます。そのときは、命拾いした打者が四球を選んで出塁したのだとか。もっとも、ルール上はこのような解釈になりますが、なかなか出くわさない珍プレーだといえるでしょう。事実田淵さんも、「高校、大学を通じて、初めての経験でした」と驚いていたそうです。

(※リトルリーグの競技規則は、一般の公認野球規則とは若干ちがう部分があります。)



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