【テーマ14】
投球が審判のマスクに挟まっちゃった!

投球が審判のマスクに挟まっちゃった!…  ランナーが一塁にいます。ここでピッチャーの投球が高く外れて、キャッチャーは捕りきれません。ところがこのポールが、ちょうど判定をしようと身を乗り出していた球審のマスクにはさまってしまいました。これを見たランナーは、しめた! とセカンドヘ向かいます。

 この進塁は認められるのか、それともポールデツドで一塁に戻されるのか…これが問題です。

 あまりいい表現ではありませんが、審判の存在はよく“石ころ”にたとえられます。リトルリーグ競技規則6・08の(d)では「フェアボールが野手に触れる前に、フェア地域で審判員または走者に触れた場合」、打者は一塁に進塁できるとしていますが、こういう(注)がついている。「フェアボールが投手を除く野手を通通した後か、または投手を含む野手に触れた後に審判員に触れた場合は、ボールインフレイである」。

 つまり、野手よりうしろにいた審判に打球が当たっても、プレーはそのまま続くのです。審判に当たって打球方向が変わろうが、それはグラウンドに落ちている石ころに当たったのと同じ、というわけです。

 ファーストのわきを鋭く抜け、ふつうならライト線に転がりそうな長打コースの打球が、もし一塁塁審に当たったら…それがおあつらえ向きに、ファーストがいる方向にはねかえれば、すばやく処理してアウトにもできるんですね。なにしろ石ころと同じ、ということはボールインプレーですから。打者にしてみればヒットを1本ソンしたようなものですが、石ころに文句をいうわけにもいきません。

 ただし、そうじゃないケースもある。おわかりですね。そう、6・08の(d)をよく読めば、野手が守備をする機会を得る前に、審判員に打球が当たったら、石ころとは見なさないことが読みとれるでしょう。

 5・09(f)にも、こうあります。「フェアボールが、内野手(投手を含む)に触れる前に走者またはフェア地域内の審判員に触れた場合、及び投手以外の内野手を過ぎる前に審判員に触れた場合(後略)」(はボールデツド)。このとき、打者にはヒットが記録されて一塁に進塁し、押し出された走者は次の塁へ。もしほかに走者がいたら、もとの塁に戻されます。

 今年のセンパツ高枚野球で、実際にこういうシーンがありました。二死ランナー一塁。このとき二塁塁審は盗塁の判定に備えてマウンドと二塁ペースの中間に位置していました。ゲイヤモンドの内側です。そこへ、ピッチヤーの足もとを痛烈な打球が抜く。塁審はとっさに反応しますが、よけきれずに打球が当たってしまったのです。

 このときには、すかさずボールデッドが宣され、二死一、二塁になりました。あれ、審判は石ころじゃないの? と記者席でも疑問の声があがりましたが、これは、5・09(f)による正しい処置だったのです。石ころかどうかの線引きは、捕球できるできないにかかわらず、内野手の守備機会を奪っていないかにある、と覚えておけばいい。

 もっとも、塁間のせまいリトルリーグでは、審判が内野手より前に位置することはまず考えられませんけど。

 さらに、石ころと見なさない例はもうひとつあります。「投球が捕手または球審のマスクその他の装具に挟まった場合は(ボールデッドとなり)、各走者は進塁する」=5・09(g)。これがそのものズパリ、問題の答えですね。一塁走者は、二塁に進んでいいのです。マスクに限らず、キャッチャーのプロテクターのすき問にはまりこんでも同じですね。ただし、与えられる塁は一個だけですから、マスクにはさまったボールがなかなかとれないからといって、三塁までは進めません。

 また、これが第4ボールだったら当然四球になります(ちなみに、ランナーが二塁にいたら三進します)。では、第3ストライクがキャッチャーのマスクにはさまったら(ストライクが審判のマスクにはさまるというのは考えにくいですからね)どうでしょうか。公認野球規則では、振り逃げで打者に一塁が与えられますが、リトルリーグの場合は振り逃げはありません。ですから、自動的に三振になります。

 かつて、プロ野球のオープン戦でこんなことがあったそうです。二死二塁で、ワンバウンドの投球をキャッチャーがとりそこねたのですが、ポールがそのまま行方不明になった。パックネット方向にも転がっていないし、アワを食って必死にさがすキャッチャーの足元にもない。いったい、どこへ行ったんだ? この間にランナーは、ゆうゆうと三塁に進みました。

 あれ? とけげんな表情でシャツのポケットに手をやったのは球審です。こんなところにあったぞ! ポケットからボールを取り出すと、スタンドは大笑いになったとか。
 結局、二死三塁で試合再開。審判のシャツのポケットも「その他の装具」と考えれば、5・09の(f)が適用されるわけで、この処置は適切でした。ルールというのは、うまくできているんですね。

(※リトルリーグの競技規則は、一般の公認野球規則とは若干ちがう部分があります。)



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