野球のルールをぜんぶ覚えるのはたいへんです。言葉はむずかしいし、ややこしい。しかし、ルールを知っているのと知らないのとでは、試合でなにかが起こったとき、大きな差がつくのです。そこでこのルール塾では、いざというときに役に立つ実戦的なルールについて、やさしい喜葉で勉強していきましょう。また、リトルリークの競技規則は、子どもたちの健康面や安全面を考えて、公認野球規則とはちょっと違う部分もありますので、折にふれてその違いも説明していきます。

【テーマ1】
同点の最終回裏二死一、三塁から打球はセンター前へ。三塁ランナーが本塁へ入るのを見て、一塁ランナーはセカンドをふまずに慶びの輪に加わりました。サヨナラ勝ち? それとも…

 むかし、大り−グで実際にあった事件です。9回裏、サヨナラヒットと思った一塁走者が、二塁の手前まで行きながら、ペースをふまずに引き上げたところ、相手の二塁手がポールを持って二塁をふみ、審判にアピールしました。すると、審判の判定は「アウト!」。サヨナラ勝ちのはずが、引き分けになってしまったんです。

 センター前ヒットでサヨナラ勝ちのはすなのに…なぜでしょう。それは、第3アウトがフォースアウトの場合、その前にランナーがホームインしても、得点にならないというルール(4・09のa)があるからです。こう考えればわかりやすい。同じケースから、バッターがセカンドゴ□を打ったとするでしょう。二塁手がこれをとり、セカンドに送ってフォースアウトにしました。もしこの前に、三塁ランナーがホームをふんでいても、もちろん得点にはならず、チェンジですよね。実際によくあるケースだから、みんなも知っているでしょう。

 問題の場合も同じです。打球がセンターまでいったからわかりにくいのですが、一塁ランナーが二塁をふまない限り、フォースアウトの状態は続きますね。大リーグの事件でも、それを知っていた二塁手がアピールしたから、アピールしてアウトにできたのです。ルールをよく知っていれば、1点を防ぐこんなファインプレーもあるんです。

 リトルリーグでは、試合終了のあいさつがあります。だからといって、打球が抜けたらあきらめて、整列しようとするのはまだ早い。守っているほうは、フォースプレーの走者がきちんと次の塁をふんだか、それを確認する必要があるんです。万にひとつの確率でも、きちんと見届けるかどうかで、サヨナラ負けのはずが試合続行になることもあるのですから。

 そしてもし走者がペースをふんでいなかったら、野手はボールを持ち、走者が、ふまなかった塁にふれ、「いまのランナーはペースをふんでいません」とアピールすること。言葉だけでも、動作だけでもいけません。言葉と、動作。そして、そのアピールが正しければ、アウトが認められるのです。試合終了のあいさつが終わるまで、このアピールをする権利は続きます。逆に攻撃側も、このルールを忘れないでください。やった、サヨナラだ! とよろこびのあまり、ペースをふみ忘れることのないように。ランナーだけじゃなく、ペースコーチ、ペンチにいる選手も、よく見ていることが大切でしょう。

 同じようなケースをもうひとつ。同点の最終回裏、二死満塁から、フォアボールを選びましたが、そのバッターはてっきり押し出しと思いこんで、その場でホームにやってくる三塁走者を待ち受けていました。試合終了のあいさつのために、両チームがホーム付近に集まってきても、まだその場にとどまったままです。このとき主審は、アウトを宣告しました。

 最終回の二死満塁から、バッターは四球を選んだ。しかしそのバッターに、一塁にいく意思がないと見なされるとアウトが宣告され、得点は認められないというルール(4・09のb)があるのです。このときは、とくに守備側のアピールはいりません。最終回の裏、二死満塁から打席に入ることがあれば、これを思い出してください。四球を選んだら、やった、押し出し!とよろこぶ前に、一塁へ進むことです。ただしこのとき、一塁・二塁ランナーは次の塁にふれなくてもいいという取り決めがあります。

 大り−グで、二塁に進まずにサヨナラ勝ちをフイにした一塁走者は、ニューヨーク・ジャイアンツのフレッド・マークル選手でした。1908年のことです。最終回の裏、一打サヨナラで、しかもフォースアウトのできるケースでは、守備側も攻撃側も、このマークル事件のことをよく思い出してください。

(※リトルリーグの競技規則は、一般の公認野球規則とは若干ちがう部分があります。)



Copyright (C) JAPAN LITTLE LEAGUE. All Rights Reserved.